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駆け出し医学生の駆け出しブログ。日常をつれづれと書いたと思えば、飽くなき趣味と愛を叫んだりします。好みについてはカテゴリーをご覧下さい。
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私が六条御息所を好きな理由が、やっと分かった。
生霊にもなり。
源氏物語に登場する女性を苦しめ。
源氏に苦しめられて生きた女性を。
どうしてこんなにも愛して止まないのか。
その理由が。

私は、彼女の強さと、彼女の弱さに惹かれたんだ。

御息所の強さ。
それは貴婦人の中の貴婦人、女王としての気品と才能と能力だった。
誰よりもたしなみ深く、誰よりも思慮深い、成熟した女性の色香を漂わせた貴婦人。
多くの貴公子に靡く事なく、女王として君臨するだけの気位と能力を兼ね備えた人。
どうやら私は、力のある女性に憧れる傾向があるらしい。
男性に象徴されるような、ゴワゴワとした力ではなく。
女性に抽象されるような、しなやかで、柔らかな、力。
細くとも決して風で折れる事のない柳のような。
そんな力を持った女性に。
御息所は、そんな力を持っていた。
少なくともそれを‘力’だと認識させるほどの強く、表面に現れた‘力’だったと思う。
女性としての力。
女性しか持ち得ない力。
女性であるが故に、逃れられない力。
六条御息所は、その力の全てを自分の武器に換える事ができる人だった。
源氏物語に彼女の幼少期は描かれていないけれど、きっと彼女はそれだけの事をやってのける運と才能にあふれ、そのための努力は惜しまなかったんだろうな、と思う。
そして彼女の力を強ければ強いほど、彼女の弱さが引き立てられる。

御息所の弱さ。
それは女性として、あるいは恋をする人間として逃れられない弱さだと思う。
‘通い婚’が主だった源氏物語の時代では特に。
他の女性には決して負けてはいないという自信。
どんな時も大人の女性でなければという責任感。
相手が年下であるというプレッシャーへの対処。
源氏に心から甘える事を許さない彼女の自制心。
これからどうなるのか、先読みの出来ない不安。
年を経るにつれ源氏はますます成熟し、輝く。
それに比べ、自分はしだいに老いて醜くなる。
凄く親近感が湧くの。
女王である彼女が、普通に恋愛をしている普通の人と同じような事を考え、同じように悩んでいる事が伝わってくるから。
貴婦人の中の貴婦人である彼女でさえ、というより、彼女の立場と内面のギャップが激しければ激しいほど、彼女への親近感はより深まる。
彼女の武器が、諸刃の剣となって彼女に襲い掛かる。
恋をしたばかりに、そこから逃れる事はできなくて。
あぁ、一緒なんだ。
あぁ、不安なんだ。って。
なぜか凄く、安心する。
自分が悩んでいる事が、そんなに変わった事じゃないという事を知って。
あるいは、そんなふうに悩みながらも生き抜いた先人がいる事に触れて。
憧れの女性が、急に近くなった気がした。

彼女の強さは私を魅了して止まなかった。
彼女の弱さは私を和ませてくれた。

私が六条御息所を好きな理由。
それは簡単な事だった。
彼女が、誰よりも人間らしい、普通の人間だったからだ。
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